こんにちは、悠です。
BUMP OF CHICKENの9枚目のアルバム、『aurora arc』が2019/07/10に発売されました!
我が家にもフラゲ日に到着。
14曲中11曲がタイアップという驚異のアルバムです。
既出曲が多いため、そこまで新鮮には感じないかなと思っていましたが、そんなことは全くなくて、むしろ改めて曲の良さに浸っています。
アルバムとして聴くと、これまで抱いていたイメージとは違った曲の表情を、たくさん感じることができて楽しいです。
初めて『ユグドラシル』を聴いた時と似た感覚に囚われて、『流れ星の正体』を聴き終えると、とても充実した気分になりました。
今日は、そんなアルバムのレビュー(と言えるほどのものではないけれど)を書いてみようと思います。
楽しんでいただけますように……。
https://music.apple.com/jp/album/aurora-arc/1471600590?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
aurora arc (通常盤) [ BUMP OF CHICKEN ]
aurora arc (初回限定盤A CD+DVD) [ BUMP OF CHICKEN ]
はじめに
まず、アルバムレビューの前に、私が思うBUMP OF CHICKENというバンドについて。
「昔はもっと尖っていたのに」だとか、「サウンドが変わっちゃった」だとか、そういった声を聞くこともある。
個人的には、20年以上も活動を続けてこれば、そりゃ変わるだろうなと思う。
人は成長するものだから、変わらないであの時の青さをそのままに!とはなかなかいかない。
実際、藤くん(と、呼ばせていただきます!)の歌い方も、昔に比べると随分洗練されて、一言でいうなら、とても綺麗になった。
昔の荒々しい歌声が好きな人の気持ちもよくわかる。
私も、がさついていて絞り出すような藤くんの歌声は大好きだ。
でも、今の、基本的にはとてもクリアで綺麗なのに、時折混ざるノイズのような荒っぽさも、かなり好きだったりする。
だから、『ユグドラシル』の曲も好きだし、今回の『aurora arc』の曲も好きだ。
BUMPの変化は深化だ、と思う。
例えるなら、ポケモンみたいなイメージだろうか。
ピカチュウはライチュウに進化するが、ピカチュウを構成していた要素がなくなってしまうのではない。
いろんなものが、よりパワーアップするのだ。
まあたしかに、「ライチュウよりピカチュウのが好きだし!」とか「いや、ピカチュウよりライチュウだろ!」とかいう人もいるのは仕方ない。
でも、おそらく「ピカチュウが好きだからライチュウなんか大嫌いだ」なんて人はいないんではないだろうか。
それは、ライチュウの中に流れるのは、間違いなくピカチュウの魂であるから、なのだと思う。
盛大に話が逸れてしまったが。
要するに、BUMPは変わっていくけれど、その本質は変わっていない。だからこそ、今でもたくさんの人に愛され続けているのだ。
見た目が変わっても、歌っていること、伝えようとしていることの本質は、ブレない。
それが、私の思うBUMPの大きな魅力だ。
さらに、彼らが凄いなと感じるところがもう一つある。
それは、20年以上、メンバーチェンジもなく、ずっと「そこに居続けている」ことだ。
一世を風靡したバンドは、解散したり、ソロ活動を始めたりと、活動の形態が変わることも多い。
それがいけないとも思わないし、そうやって一度離れたバンドの再結成などもとても嬉しいことではあるのだが。
BUMPのように、ずっと続けることというのは、本当に大変なことだと思うのだ。
今回のアルバムにも収録されている『リボン』の歌詞を読んで、その大変さを改めて感じたし、解けそうになっても、リボンを何度も「結んできた」メンバーに感謝の気持ちが溢れた。
これらは、私が思うBUMP OF CHICKENというバンドの姿だけれど、リスナーそれぞれの中にそれぞれのBUMP像があって、そのどれも彼らの側面なんだと思う。
余談はこの辺にして、あぁ……やっぱりBUMPはいいなと思えた今回のアルバムについて、感じたことを綴ってみる。
アルバム『aurora arc』について
1. aurora arc
一言で言うなら、とても綺麗な曲。
最初はギターから始まって、徐々に音が増えていくのが、アルバムの流れを思わせるような。
壮大な旅の雰囲気があって、わくわく感と切なさのどちらも内包されている印象。
ジャケットのオーロラが目に浮かんだ。
アルバムのスタートにぴったり。
2. 月虹
イントロから格好良い!!好き!!
ギターの音色が激しくて、かなりぞくぞくした。
速めのテンポもとても心地良くて、早速LINE MUSICに設定した。
「からくりサーカス」の主題歌ということもあり、サーカス感もたっぷり。
どことなく妖しげでミステリアスさを含むサウンドがたまらない。
いろいろな楽器の音が重なって、様々なところから音が向かってくる感覚で、ヘッドホンで聴くと臨場感が凄い。
フルで初めて聴いて、Cメロ部分に心奪われた……格好良すぎる。
メロディーが好みすぎて、何回もリピートしてしまう。
歌詞については、なかなか自分の感覚に落とし込むのに時間がかかっていて、自分なりにまだ考えている途中なのだけれど。
MVを見て、歌詞を読んでいたら、録画しそびれた「からくりサーカス」をちゃんと見たくなったので、DVD借りに行こうと思う。
3. Aurora
まさしく私のイメージの中にあるオーロラのような、綺麗で、曖昧で、優しいサウンドが印象的。
サウンドの明るさと美しさはもちろんだけれど、個人的には、特に歌詞をじっくりと聴きたい曲でもある。
「お日様がない時は クレヨンで世界に創り出したでしょう」
「もう一度 もう一度 クレヨンで 好きなように」
「もう一度 さあどうぞ 好きな色で 透明に」
「もう一度 もう一度 クレヨンで この世界に」
「今こそ さあどうぞ 魔法に変えられる」
ここの部分は特に印象的だった。
"痛み"や"涙"を抱えた闇の中で、それと向き合う勇気をもらえる気がした。
"クレヨン"という言葉から、幼い頃の自分を思い起こしたりもして、とてもこの曲を近くに感じることができた。
もうひとつ、「大切にするのは下手でも 大切だって事は分かってる」の部分も、ずっと頭に残っている。
感じたことのある思いを言葉にして、それを肯定した上で、その抱えた思いと向き合う勇気をくれるような、そんな印象を受けた。
4. 記念撮影
最初聴いたとき、藤くんの作った詞に愕然とした曲。
『記念撮影』というタイトルの曲に、「遠吠えとブレーキ」「一本のコーラ」「丸めたレシート」なんて言葉が湧いてくるのって、本当に凄いと思う。
一見すれば、どこに記念撮影の要素が?と思うような言葉たちだけれど。
歌詞として聴いていると、不思議なことに、とても鮮やかなようでいて、どことなく曖昧なその風景が脳裏に浮かんでくる。
「終わる魔法」という言葉で、その懐かしい記憶を表現しているのも素敵だ。
「想像じゃない未来に立って 僕だけの昨日が積み重なっても その昨日の下の 変わらない景色の中から ここまで繋がってる」
私も、時折、学生時代の曖昧だけれど輝いている、「終わる魔法」の中にいた頃の写真を見て、いろいろな思考を巡らせることがある。
あの頃想像していた未来と現実は違っていて、自分がどこへ向かいたいのか、どこへ向かっているのか、わからなくて不安になることも何度もある。
「迷子のままでも大丈夫 僕らはどこへでも行けると思う」
「君は笑っていた 僕だってそうだった 終わる魔法の外に向けて」
「今僕がいる未来に向けて」
今が上手くいかなくて、写真の中の自分たちへの羨望のような、そんな気持ちになることもあるけれど、その複雑な感情をふわりと解き放ってくれるような言葉がたくさん詰まっていた。
5. ジャングルジム
藤くんの弾き語りの形で収録されている曲。
「欠けた月の黒いところ」という歌詞が、BUMP OF CHICKENの昔の曲と通ずるような、誰もが心の中に持っている、孤独、寂しさ、見えない何かを内包していて、印象的だった。
この言葉は、曲の最後にも歌われていて、この曲の中でも特に心に残るフレーズになった。
「例えばの話」のとき、ギターのメロディーがぐっと気持ちを高めるように変化する。
「誰から見ても取るに足らない だからこそ誰にも言えない そんな涙ならきっとわかる」
この「例えばの話」の最後のフレーズが特に好き。
身に覚えのある少しだけ複雑な感情をこうして言葉にしてくれるところ、表現しようのない曖昧な孤独や思考をひっくるめて、それを抱えたまま生きることを肯定してくれるところ。
私が好きなBUMP OF CHICKENが、ぎゅっと詰まっていて、初めて聴いたときは、涙がちょこっとこぼれた。
「未だに心の本当は ジャングルジムの中にいる」
そう言った藤くんが、こうしてマイクのこちら側に、この曲を、このアルバムを、届けてくれたことが嬉しかった。
6. リボン
言わずもがな、20周年のときに初めて聴いて、BUMP OF CHICKENというバンドのファンでいられることの幸せを改めて感じさせてくれた曲。
私なんかよりも随分と大人で、いろいろな経験をしてきたであろう藤くんが歌う、「嵐の中をここまで来たんだ」という言葉の重みを感じた。
「ガラス玉ひとつ分」「汚れたカンテラ」「手作りの地図」「すれ違った野良猫」など、BUMP OF CHICKENが届けてきた曲の歌詞を思い起こさせるフレーズが登場したことでも話題になったが、藤くん曰く、意図的にそうしたのではなくて、自然とそうなった、というところが、より一層リスナーの心を打つのだと思う。
個人的に一番ぐっときたのは、「あくびのユニゾン」という表現だ。
本当に仲良くないと、あくびってうつらないらしい、と聞いたことがあるが、何だか、メンバー4人の関係性を少しだけ垣間見せてもらえたような、勝手だが、そんな感覚になった。
あと、純粋に、言葉の響きの良さが好き。
「あくびのユニゾン」ってなんか可愛い。
「僕らを結ぶリボンは 解けないわけじゃない 結んできたんだ」
この部分がぐっときた。
どれだけ仲が良くても、全く同じことを思って、完全に理解し合えるなんてことはないし、ズレが生じないなんてこともない。
それを理解した上で、「意地や恥ずかしさに負けないで 心で正面から向き合えるよ」と言える関係性を作り上げ、「側にいること」を選び続けてくれた彼らに、感謝の気持ちが湧き上がった。
最後の、「嵐の中をどこまでも行くんだ 赤い星並べてどこまでも行くんだ」という言葉を聞いて、これから先のBUMP OF CHICKENの歩みを、私も出来うる限り見守りたい、そう思った。
一緒に、と言うのはおこがましいかもしれないけれど、自分も彼らと彼らの音楽と共に、少しずつでも進めたらいいなと思う。
あと、『ジャングルジム』の孤独に共鳴したあとにやってくる『リボン』の流れで、ひとりだけれど、ひとりじゃないことを思い出して、温かい気持ちになった。
7. シリウス
疾走感溢れるサウンドで、心地良い。好き!!
この曲のチャマさんのベースの音が良き。
ドゥルンドゥルンしているのが好き。
「絶望の最果て」「希望の底」という言葉のチョイスが印象的。
特に、「希望の底」という表現には驚いた。
相対するイメージをもつ「希望」と「底」の組み合わせが、「絶望の最果て」という言葉と並ぶことによって、ぴったりとはまっていて、凄いなと思った。
「受け取った自由に 帰り道奪われて」の部分にも、同じようなことを感じた。
「自由」という言葉から感じるイメージとは真逆の「奪われて」という言葉が続くのに、歌詞を通して見ると、そこに確かに流れが見えて、感動した。
「これは誰のストーリー どうやって始まった世界」
「ここまで生き延びた 命で答えて」
「その心で選んで その声で叫んで」
「一番好きなものを その手で離さないで」
個人的には、サビの歌詞が、特に印象的だった。
そして、マニアックかもしれないが、個人的な好みの話を少し。
「隔たりを砕いて どうぞ 行っておいで」と歌う藤くんの歌い方というか、声がとても好きで、最後の「ただいま おかえり」の部分にもきゅんとしてしまった。
やっぱりとっても良い声だよなぁ……。
ちなみに、タイトルの『シリウス』は、太陽以外では地球から最も明るく見える恒星だそうで。
それを知ってから聴くと、この曲の表情もまた違って見えてきて、それも興味深い。
8. アリア
キラキラしたメロディーと、切なさがぎゅっと凝縮した歌詞が印象的な曲。
「あの日の些細なため息」が「その景色の日常」になってしまうという感覚は、感じたことのあるもので、他の部分も何度も歌詞に共感しながら聴いていた。
「言葉は上手に使ったら 気持ちの側まで 近付けるけれど」
「同じものにはなれない 抱えているうちに 迷子になったよ」
こうやってブログに感想を綴ったり、文章を書くことが昔から好きだった私にとって、ここで歌われている感覚はとても身近なものに思えた。
また、書くときだけでなく、日常生活の会話でも同じことを感じていたので、すとんと自分の中に歌詞が入ってきた。
「何も言えなかった 何を言えなかった」
"も"という表現と、"を"という表現が重ねて使われていて、それによって感じるニュアンスの違いが印象的。
サビの「笑うから 鏡のように 涙がこぼれたよ」の部分も好き。
笑う君の鏡のように、涙がこぼれる私。
その光景が、自身の大切な人との別れを思い起こさせて、胸がぎゅっとなるような、それでいて、見つけられたことの幸せを噛みしめるような、そんな不思議な気持ちが湧き上がった。
9. 話がしたいよ
初めて聴いたときに、あ、好きだ、と確信した曲で、今回ライブで聴けたら泣いてしまう自信がある。
最初は、自分自身が大切な家族との別れを経験したばかりだったこともあり、それが歌詞と重なって、聴くたびに寂しい気持ちを拭いきれないでいた。
もう二度と会うことのできないその人と、また話がしたい。
そんな思いが湧き上がって、どことなく切なくて悲しくて寂しかった。
「大丈夫 分かっている」と言ってくれるこの曲は、拭いきれない寂しさを抱えたままでもいい、それを抱えたままでも、新しい場所に向かってまた進んでいこう、そう言ってくれる存在だった。
でも、今改めてこの曲を聴いてみると、当初とはまた違った表情を見つけた。
見方によっては、この曲で歌われている言葉は、BUMP OF CHICKENと過去に出会い、今は別の道を歩いているリスナーへの思いのようにも感じられる。
BUMP OF CHICKENはサウンド面でも、歌詞の面でもかなり進化しているため、昔はよく聴いていたけれど今のBUMP OF CHICKENはあまり聴いていないというリスナーも少なからずいる。
あくまで個人的な見解だが、そんな風に道を違えたリスナーに対して、「話がしたいよ」と歌っているようにも思えて、何だかこみ上げてくるものがあった。
アルバム『RAY』の頃にBUMP OF CHICKENに惹かれ、過去作『ユグドラシル』を聴いて、BUMP OF CHICKENのファンになった私から見れば、サウンド面が進化しても、根っこの部分で歌っていること、伝えたいことは大きく変わっていないように思えて、そこがとても信頼できるし、大好きだったりするのだけれど。
人としての経験値を得て、いろいろな面がレベルアップしたことにより、曲が持つアイテムのバリエーションか増えたのかなと感じているので、個人的には、その変化に違和感を覚えたことはない。
話が逸れたが、『話がしたいよ』からは、この進化や変化をきっかけにBUMP OF CHICKENの音楽から少し遠いところに行ったリスナーに、またふらっと曲を聴いていってよ、と語りかけるような、そんな印象を受けた。
この曲の持つ様々な表情を知るにつれて、どんどん好きが増す。
本当に名曲だと思う。
好きなフレーズが多すぎて、歌詞も抜粋できないので、とにかくたくさんの人に聴いてほしい。
聴いたらきっと、BUMP OF CHICKENのことがもっと好きになるはずだ。
10. アンサー
こちらは言わずと知れた、すでにライブでも何度も演奏されている人気曲。
この曲が主題歌を務めた「3月のライオン」のアニメにも一緒にハマっていた。
「失くしたくないものを 見つけたんだって気付いたら こんなに嬉しくなって こんなに怖くなるなんて」
ここのフレーズが特に印象に残っている。
この気持ちは知っている。
だからこそ、その嬉しさにも、怖さにも共感できて、すうっと曲が自分の中に流れ込んできた。
また、歌詞に登場するいくつもの比喩表現が、とても綺麗な情景を思い起こさせるのも、好きなポイントのひとつだ。
「雲の向こうの銀河」「どっかで失くした切符」「生まれる前の歴史」
「迷路の奥のダイヤ」「届かなかった風船」「気付けなかった流星」
「砂漠の粒のひとつ」「消えていく雨のひとつ」「貰った 名も知らない花」
真っ直ぐな言葉が、勇気とパワーをくれる曲。
11. 望遠のマーチ
このアルバムの中では最も前にできていた曲だと聞いて驚いた。
好き!!!明るいのに悲しくて辛くて、その辛さや悲しさを越えていく勇気が湧いてくる曲。
今回のアルバムの曲たちは、最初に聴いたときから、好き!と思う曲ばかりなのだが、この曲も同様、とっても良い曲だと思う。
明るいサウンドはもちろん、BUMP OF CHICKENでは珍しい、「いこうよ」と何度も繰り返す歌詞がとても良い。
自分が心身共にくたくたで、悩みまくっていたときに聴いたというのもあるが、
「心はいつだって 止まれないで歌っている」
「死んだような今日だって 死ねないで叫んでる」
というフレーズがぐさりときた。
「皆集まって 全員ひとりぼっち」であることを痛感して。
「本気で迷って 必死にヘラヘラして」生きていた自分はダサいなー、格好悪いなーと思っていたけれど。
「夜を凌げば 太陽は昇るよ」と励ましてくれて、その後に「そうしたら必ず また夜になるけど」と現実を突きつけられる。
希望と絶望の中でも、ただシンプルに「いこうよ」と歌ってくれることで、考えすぎてムカムカとしていた胸がすっと晴れていった。
「与えられた居場所が 苦しかったら そんなの疑ったって かまわないんだ」
そう言って、誰に何を言われても、生きる道を自分で選ぶことは間違っていないと肯定してくれる歌詞に、迷ったり悩んだりして、同じ場所をぐるぐるとしていた自分が掬い上げられた気がした。
「羽根は折れないぜ もともと付いてもいないぜ」
そんな風に言った後、「嵐の中も その羽根で飛んできたんだ」「いこうよ」と歌うBUMP OF CHICKENが好きだし、そんな彼らに勇気をもらった。
余談だが、最後の「へいっ!」の部分は母共々完璧なタイミングで言えるので、ライブで聴けた暁には、こっそり一緒に「へいっ!」をやりたいと思っている。
12. Spica
初めて聴いたとき、曲のアレンジに驚いた。
でも、聴けば聴くほど、この曲が望むアイテムはこれなんだなと実感して、曲のアイデンティティを大切にするBUMP OF CHICKENらしいアレンジだなと感じた。
広大な宇宙を彷彿とさせるサウンドで、リリックビデオもそんなイメージで作られている。
この曲は何と言っても、「手をとった時 その繋ぎ目が 僕の世界の真ん中になった」というフレーズの持つ力が凄い。
繰り返し歌われるこのフレーズに、心の奥の柔らかい部分がとても温かくなって、好きだなぁと思った。
また、「汚れても 醜く見えても 卑怯でも 強く抱きしめるよ」と歌う藤くんの大きな優しさに、思わずきゅんとしてしまった。
「どこからだって 帰ってこられる」「いってきます」という言葉で締めくくられるのだが、同じく星の名前を持つ『シリウス』では、「ただいま」と「おかえり」、この曲では「いってきます」が使われているのが、とても素敵だなと思った。
深い意味があってもなくても、どちらの曲の終わりも、"帰ってこられる場所"というものがあるのがわかって、そこに"信頼"や"愛"を感じた。
13. 新世界
これも凄く好きな曲。音が可愛い!
愛に溢れた曲で、「ベイビーアイラブユーだぜ」と歌う藤くんに撃ち抜かれる。
明るくて幸せなサウンドとは裏腹に、ただ底抜けに明るいだけではない歌詞が、BUMP OF CHICKENならではの魅力を存分に発揮している。
「なんだよそんな汚れくらい 丸ごと抱きしめるよ」なんて言われて、嬉しくない人なんていない。
良いところだけじゃなくて、「泣いていても怒っていても 近くにいたいよ」なんて言って、嫌なところも全部受け止めてくれる。
この曲が歌う"愛"は、とっても大きくて深い。
底抜けに明るいようでいて、そうでない"僕"の世界が歌詞から伝わってくる。
でも、そんな"僕"の世界が、"君"と会ったことで新しく生まれ変わったから、タイトルが『新世界』なんだとしっくりきた。
「僕の今日までが意味を貰ったよ」としきりに繰り返される言葉を深読みするならば、それまでの"僕"の日々は、あまり楽しいものでなかったことが想像できる。
そんな"僕"が、こんなにも真っ直ぐな"愛"に出会えたことがとても素敵だなと思った。
そして、インパクトの強い「ベイビーアイラブユーだぜ」とはまさしく、この曲の思いをすべて包み込んだ最強の"愛"の言葉であり、この曲を素敵に彩る最強のアイテムだと感じた。
14. 流れ星の正体
藤くんが弾き語りで歌った動画を見て、その時からずっと大好きな曲。
シンプルな弾き語りも良かったけれど、今回収録されたアレンジも素敵だった。
このアルバムの最後の曲にぴったりで、今まで歌われてきた曲たちのすべての思いがここに繋がるのだとさえ思えて、聴き終えたとき、思わず嬉し泣きしてしまったほど。
この曲は、藤くんから、BUMP OF CHICKENから、我々リスナーに向けてのラブレターのような、そんな曲だ。私はそう感じた。
「時間と距離を飛び越えて」双方向の思い。
その思いをちゃんと受け取ってくれるし、それをちゃんと返してくれる。
「世界に何億人いようとも ひとり」だと歌う藤くんが、「増え続けて溢れそうな唄の欠片たちが 早く会いたがって騒ぐんだ」と言って、私たちの空に向かって唄を届けてくれること。
「ひとり」だと歌う藤くんに私たちが伝えたい思いを様々な形で届けること。
その奇跡みたいな繰り返しを、『流れ星の正体』なんて素敵なものに例えて、歌ってくれる藤くんに心が震えた。
「君が未来に零す涙が 地球に吸い込まれて消える前に」
「ひとりにせずに掬えるように 旅立った唄 間に合うように」
「命の数と同じ量の一秒 君はどこにいる 聞こえるかい」
「君の空まで全ての力で 旅立った唄に気付いてほしい」
この部分は特に好き。
「命の数と同じ量の一秒」というフレーズがあまりに切なくも美しくて、胸の奥がきゅっとなった。
そして、ラストの歌詞4行分の思いの強さに、また震えた。
というより、ヘッドホンで聴きながら鳥肌が立ってしまった。
BUMP OF CHICKENの曲は、孤独を抱えるすべての人の心に真っ直ぐに届く。
例えば、私も、その一人だ。
表向きはみんなに合わせているけれど、根っこの部分でどこか孤独を捨てられない。
弱虫で、それを素直に言えなくて、強がってばかりの自分が、自分でも嫌になることもあるけれど。
そういうときに聴くBUMP OF CHICKENの曲は、より一層近いところで響くのだ。
「お互いに あの頃と違っていても 必ず探し出せる」
「飛んでいけ 君の空まで 生まれた全ての力で輝け」
これだけ真剣に、真っ直ぐに思いを投げてくれる彼らのことをもっと好きになるような、彼らの曲をもっと好きになるような、そんな最高のラブレターだった。
(藤くんの弾き語りバージョンも最高です。聴くたびにズビズビ泣いてます。)
おまけ
隠しトラックについては多くは語るまい。
とにかく聴くべし。
パヤパパ〜♪
笑顔が素敵な彼が大活躍の名曲がまた誕生したと思う。
まとめ
熱量が凄すぎて、予定の倍くらいの分量になってしまいました。
BUMP OF CHICKENの曲には、それだけいろいろな思いが詰まっているのだなと、書いていて改めて感じます。
誰もが感じている、寂しさや孤独といった逃れられない負の感情を肯定して、それごとまるっと抱えたままで生きる勇気をくれるBUMP OF CHICKENが、私は好きです。
これからも私は、側にそっと寄り添ってくれる彼らの音楽と共に生きていくのだろうし、時々は、彼らの熱を、彼らの作る曲の熱を体感しにライブに行くのだと思います。
BUMP OF CHICKENに出会えて本当によかったなぁ……と改めて、じんわりと実感中です。
『aurora arc』、とても良いアルバムだったので、たくさんの人にこの感動を体感してほしいと思い綴ってみました。
少しでも伝わっていたら嬉しいです。
拙いブログに最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
では、また。