我が永遠の王妃、花總まりさんの話
こんにちは、悠です。
今回は、はてなブログさんによる特別お題「わたしの推し」について。
たくさん推しがいるので、厳選することができず、結局書けるだけ書いちゃうことにしました。
だってみんな好きなんだもの……。
ひとりには絶対に絞れない……。
そんな我儘な雑食オタクによる、“わたしの推し”を語るシリーズ、トップバッターは、我が人生初の推し、そして、我が永遠の王妃様であるミュージカル俳優の花總まりさんです。
彼女のマリーアントワネットをテレビで見た4歳のあの日、私のオタク人生が始まりました。
そんな花總さんについてのブログ、お時間のある方はぜひ覗いてみてください。
花總まりという俳優との出会い(『ベルサイユのばら2001』)
私が花總まりさんを初めて知ったのは、4歳の時だった。
たまたまついていたテレビでやっていたのが、宝塚歌劇団宙組公演『ベルサイユのばら2001』。
綺麗な衣装に、華やかな舞台。
美しいスターたちの姿がとても輝いて見えて、自分もあんな風になりたいと胸躍らせたのを、今でもほんのりと覚えている。
マリーが歌っていた「ガラスの城」という楽曲が特に好きだ。
シュテファンを抱いている白髪のマリー。
ロザリーからスープを貰って、穏やかな表情を浮かべるマリー。
フェルゼンとの再会、揺れる心。
フランス王妃として、母としてのマリーの決断、別れ。
“カペー未亡人”と名を呼ばれ、断頭台を登っていく、美しくて気高い後ろ姿。
今でも、目を閉じればその姿が鮮明に思い出せるほど、まだ4歳だった私の胸に深く刻まれた記憶である。
衝撃的だった。
みすぼらしいものを身に着けているはずなのに。
髪も白くなって窶れてしまったはずなのに。
その後ろ姿は、誰よりも美しく、気高く、凛々しかった。
誰かの演技を見て泣いたのも、この時が初めてだったし、鳥肌が立って、しばらく呆然としてしまったのも、初めてだった。
そこから、私は、母と一緒に宝塚歌劇団宙組、ひいては花總まりさんというスターにどっぷりハマって、大劇場にも東京にも足を運ぶこととなる。
花總さんとたかこさん(和央ようかさん)の退団公演の大楽日は、劇場には行けなかったが、ライブビューイングで見届けた。
この出会いがきっかけで、私はクラシックバレエを習い始め、後に宝塚音楽学校を受験することになるのだが、これはまた別のお話。
とにかく、花總まりというひとりの俳優との出会いが、私の人生に大きな影響を及ぼしたのは間違いないし、この出会いは、私の世界を広げてくれた。
私が彼女のことを“我が永遠の王妃”などと呼ぶのには、それなりにちゃんとした理由があるのだ。
出会いのきっかけが、彼女のマリーアントワネットだったので、今でもその役には思い入れがある。
ベルサイユのばら2001−フェルゼンとマリー・アントワネット編−(’01年宙組・宝塚)【動画配信】
宝塚時代と『エリザベート』
私個人の意見としては、宝塚時代の彼女は、伝説的な娘役トップスターだったと思っている。
長期政権などと揶揄されようとも、彼女にはそれを成すだけの人気と演技力が備わっていたし、実際、当時の宙組の人気は凄まじいものだった。
私がリアルタイムで追えたのは、たかこさんとトップコンビを組んでいたタカハナ時代だけだったが、それ以前にコンビを組んでいたスターの顔ぶれにも驚かされる。
『激情』のカルメン役など、それまでとは異なる役柄に挑戦した花總さんの姿が新鮮だったずんこさん(姿月あさとさん)とのコンビは、ずん花と呼ばれ、宙組立ち上げの重要な時期を担った。
一作限りの轟悠さんとのコンビは一夜の夢のようであったし、『仮面のロマネスク』初演が印象的だった高嶺ふぶきさんとのコンビでは、高嶺さんの美人ぶりも然ることながら、花總さんの美しさも1段階グレードアップしているようだった。
(以前書いた『仮面のロマネスク』のブログです。興味のある方はぜひ。)
そして何より、あの『エリザベート』の日本初演でトートを演じた、一路真輝さんとのコンビは忘れられない。
まだ若かった花總さんを引っ張って、芝居の雪組の一員としての力を見出してくれた一路さんは、本当に素敵なスターだと思う。
一路さんがいなければ、日本の宝塚歌劇団で、『エリザベート』が上演されることはなかったと言っても過言ではない。
私は、それなりに長い間、それなりの数、様々な『エリザベート』を観てきているが、今でも一路真輝の演じたトートが一番好きだ。
凍てつくような美しさ。
性別や体温を感じさせない佇まい。
聴いたものの心を掴んで離さない、圧倒的なパワーと艶のある歌声。
彼女のために小池先生が作品を探し出してきたのも納得の、素晴らしいトートだった。
そんな一路真輝さんの退団公演かつ、日本初演ミュージカルということで、当時の宝塚では異例尽くしだったと、後に本人たちが語っている。
それを成し遂げ、数多くの人々に愛される作品となった『エリザベート』の礎を作った初演メンバーには、敬意を表したい。
そして、そのカンパニーの中で、一路さんの相手役として、立派にエリザベートを演じ切った花總さんにも、思いを馳せずにはいられない。
まだ若く経験の浅かった彼女にとって、途轍もなく高い壁だったはずだ。
でも、彼女は、当時の彼女にしかできない素晴らしいエリザベートを演じ切った。
初演の時の、あどけなさと危うさの残った花總まりのシシィが、私は大好きだ。
鏡の間のシーンでは、本物のシシィの魂が憑依しているのではないかと思ったほどの美しさだった。
エリザベート−愛と死の輪舞−(’96年雪組・宝塚)【動画配信】
(このシーン、御本人は、緊張しすぎてああいう表情になったと仰ってましたが、その表情がもう……言葉で言い表せないくらいの美しさでした。ご覧になったことがない方は、ぜひ一度観ていただきたいです。)
花總さんは宝塚を退団後、東宝版『エリザベート』でもエリザベート役を演じ、2016年には、同役で菊田一夫演劇大賞の大賞を受賞している。
2020年はコロナの影響で公演が中止になってしまったが、叶うならもう一度、彼女のエリザベートが観たい。
舞台の上で毎日、エリザベートの生涯を生きる彼女の姿に、心が震えたあの日々を、また過ごせることを願っている。
『MA』との出会い
banbi520.hatenablog.com
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最初に、マリーアントワネットを演じる花總さんには、特別な思い入れがあると綴ったが、まさか退団後にも花總さんのマリーが観られるなんて……、しかもマリーアントワネットを軸にしたミュージカルが観られる日が来るなんて……と、『MA』が上演されたときは、とても感慨深かった。
私の中で、彼女のマリーはマリーそのものである。
特に、伴侶であるルイ16世を喪ったあとの花總マリーの演技は一生忘れることができないくらいに、瞼の裏に焼き付いている。
初めて彼女のマリーを観たときも感じたが、彼女は1回の公演3時間弱の間に、本当にひとりの人間の人生を歩んでいるんだと思う。
だから、あんなにも窶れて、壊れてしまいそうにみえるのだろう。
1時間前に、美しいドレスを選んで、楽しそうに笑っていた可愛らしい王妃は、もうそこにはいない。
大切な人を喪うにつれて、彼女は本当に窶れ、痩せこけて、瞳の輝きすら失われていくのだ。
公演期間中の本人の負担が心配になるほど、毎公演マリーの人生を全うする花總さんの姿に、圧倒されてしまった。
オペラグラスでその表情を余すことなく観ていると、より一層その凄さがわかって、自分自身もマリーの生きていた時代に入り込んでしまう感覚が少し怖くもある。
花總さんの場合は、演じているというより、役を生きているという表現の方がしっくりくる。
彼女が役を生きているから、私たちも気づくと、その作品の世界の中に入り込んでしまうのだ。
私たちはあくまで観客で、身体は劇場にいるはずなのに、気づいたらタンプル塔の中でマリーを見つめていて、彼女の魂からの咆哮に身を震わせてしまう。
そして、裁判所では、傍聴席に座る名もなき民としてマリーを見つめ、その凛々しい佇まいと発せられる言葉の重みを目撃して息を呑む。
さらに、処刑場では、マルグリットと同じようにマリーに手を伸ばして、救えなかった気高く誇り高い命を前に涙をこぼす。
ミュージカルやお芝居を観て、こんな感覚に陥ったのは初めてで、最初は動揺した。
入り込みすぎて、観劇後に辛さを引き摺ったのも初めての経験だった。
そのくらいに、凄まじいエネルギーが込められた演技だった。
花總まりという俳優の真骨頂をみた気がする。
マリーの生きている世界に連れ去られる、と本気で思った。
言葉では表しきれない。劇場でしか感じられない。
不思議な魔法に呑まれたような気分になる、私にとって特別な作品だ。
花總さんの華麗なドレス捌きにも注目してほしい。
『MA』は円盤も発売されているので、興味のある方はぜひ。

(ちなみに私は、このPVの最後の最後に収録されている、花總さんマリーのセリフだけで、本編を思い出して泣きました。)
banbi520.hatenablog.com
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最後に
ここまで、できる限り簡潔に、我が人生初の推し俳優について語ってきましたが、結局のところ、私は花總さんの演技が大好きだ!ということさえ言えれば満足だったりします。
私にとっての彼女の演技は、最早、演技の領域を越えているので、誰と比べてどうだとか、そんな野暮な話をするつもりはありません。
エンターテインメントの世界の基準は、各々の好みによって変わるわけで、私にとっての宇宙一が誰かにとってはそうでもなかった、みたいなことはよくありますし、今回も、ほぼ自分のために書いちゃいました。
推しの好きなところを語るのって、最高に幸せだし楽しいです。
これからも平和に楽しく、いろんな推しを愛でて生きていきます。
このブログを読んでくださったみなさんも、それぞれの推しを愛でて、幸せな推し活ライフを楽しみましょう!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
では、また。