悠悠自適なオタク生活

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絵本の世界 ~『フレデリック』~

こんにちは、悠です。

今日は、個人的におすすめの絵本を紹介する、絵本 の世界シリーズ、第二弾。

(絵本の記事、書いていてとても楽しかったので、勝手にシリーズにしてみました。もし少しでも気になるな、と感じていただけたなら、ぜび!第一弾の記事も読んでみてください!!)

絵本の世界 ~『わすれられないおくりもの』~ - 悠悠自適なオタク生活



今回おすすめする絵本は、レオ・レオニフレデリック


有名な作者の、有名な作品なので、ご存知の方も多いと思いますが、私なりにこの作品の好きなポイントをまとめてみました。


お時間のある方は、ぜひ覗いていってください(*'▽')!

(※この記事では、紹介する絵本のネタバレを含みますので、その点はご了承ください。)

フレデリック』(レオ・レオニ作・絵)


フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし [ レオ・レオニ ]


絵本を読んだことがなくても、たれ目が可愛らしいねずみのイラストに、見覚えのある方もいらっしゃるかなと思います。


このイラストを使ったグッズも数多く発売されており、絵本としてだけでなく、ひとつのキャラクターとしての人気も高い作品です。

https://www.dreampocket-webshop.jp/fs/characters/c/leolionni


私もフレデリックのメモ用紙を持っていますが、絵柄が可愛らしく、おしゃれな雰囲気で、親しい友人に贈り物をする時のメッセージカードとしても使っています。



■ストーリー(ネタバレあり)

➡牧場の石垣に住んでいる小さなのねずみたちは、昼も夜も休まずにはたらいている
せっせと木の実、とうもろこし、小麦やわらを集めては運ぶ。

彼らが住んでいる場所に住んでいたお百姓さんが引っ越してしまったため、納屋はかたむいて、サイロは空っぽ
そのため、彼らは冬に備えて、食べ物を蓄えねばならなかったのだ


みんなが一生懸命はたらいている中、フレデリックだけはひとりでじっとしている。

フレデリック、どうして きみは はたらかないの?」

こうみえたって、はたらいているよ。

そう答えたフレデリックは、寒くて暗い冬のために、おひさまの光を集めているんだと言った。


次に、すわって牧場をじっと眺めているフレデリックの背に、仲間がたずねる。

「こんどは なに してるんだい、フレデリック?」

フレデリックは、冬は灰色だから色を集めているんだと言った。


またある日、半分眠っているようなフレデリックに、少し腹をたてて仲間がたずねる。

「ゆめでも みてるのかい、フレデリック。」

ちがうよ、と答えたフレデリックはこう続ける。

「ふゆは ながいから、はなしの たねも つきて しまうもの。」


そして、冬がやってきた
5匹ののねずみたちは、石垣の中にこもった。

はじめのうちは、蓄えていた食べ物を食べながら、馬鹿なきつねや、まぬけな猫の話をして、楽しく過ごしていた。


けれど、少しずつ食べ物は減っていったわらもなくなった
石垣の中は凍えそうなほど寒くて、おしゃべりをする気にすらなれない

そんな時、仲間たちは、フレデリックが言っていた、光や色言葉について思い出して、フレデリックにそれらがどうなったのかたずねた。


「めを つむって ごらん。」

フレデリックはそう言うと、みんなの瞼の裏にあるおひさまの光を感じるように語りかけた。

すると不思議なことに、4匹ののねずみたちは、だんだんと暖かくなってきたような気がした

これは魔法かな?


待ちきれなくなったみんなが、フレデリックに、色はどうかとたずねる。

するとフレデリックはもう一度目をつむるように言ったあと、青いあさがおや、黄色い麦の中にある、赤いけしの実のいちごの緑色の葉っぱについて話し出した。

フレデリックの話を聞いたみんなは、ぬりえのように、心の中にはっきりと色をみた


「じゃあ ことばは? フレデリック。」

みんながたずねると、フレデリックは咳ばらいをして、少し間を空けてから、舞台の上の俳優のように話し始める。


「三がつに、だれが こおりを とかすの?
六がつに、だれが 四つばの クローバーを そだてるの?
ゆうぐれに、だれが そらの あかりを けすの?
だれが つきの スイッチを いれるの?
それは、そらに すんでる 四ひきの ちいさな のねずみ。
ぼくと きみ そっくりの。
はるねずみ、ゆうだちを ふらせる かかり。
なつねずみ、はなに いろを ぬる かかり。
あきねずみ、くるみと こむぎの かかり。そして
さいごは ふゆねずみ、ちいさな つめたい あし してる。
きせつが 四つで よかったね。
一つ へったら どう なる ことか。
一つ ふえ たら どう なる ことか!」


話が終わると、みんなはたくさん拍手をして、フレデリックのことを詩人のようだと褒めた

フレデリックは、頬を染めておじぎをしてから照れくさそうに言った


「そう いう わけさ。」


■作者について

作者は、オランダで生まれ、イタリアで育った絵本作家、レオ・レオニ

レオ・レオニは、現代美術のアーティストイラストレータグラフィックデザイナーとしても有名で、数々の作品を残している。


イタリアがファシスト政権となり、一度アメリカに亡命
その後、アメリカでグラフィックデザイナーとして活躍した。

(余談だが、はらぺこあおむしで有名な絵本作家、エリック・カールニューヨーク・タイムズに紹介し、絵本の仕事を勧めたのは、レオ・レオニである。)


1959年に、孫のために創った絵本『あおくんときいろちゃん』で、絵本作家としてデビュー。

晩年は、イタリアに戻り、40冊にもおよぶ絵本を発表した。


あおくんときいろちゃん (至光社ブッククラブ国際版絵本) [ レオ・レオニ ]


また、フレデリックスイミー『アレクサンダとぜんまいねずみ』の三作品で、カルデコット賞を受賞。

他の作品も含め、各国で彼の作品は高い評価を受けている。


スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし [ レオ・レオニ ]
 


アレクサンダとぜんまいねずみ ともだちをみつけたねずみのはなし [ レオ・レオニ ]


フレデリックは、イタリアでは1967年刊行、日本では、谷川俊太郎の訳で、1969年に刊行された。


水彩画の優しいタッチと、あたたかさを感じさせる切り絵が織り交ざったイラストが、レオ・レオニならではの、独特の世界観を創り出しているのが印象的。

心を温かくしてくれる大切なこととはなんなのかを、その独特且つ、詩的な表現を用いて丁寧に描いていて、他の絵本とは、一味も二味も違った魅力が詰まっている。



■”ちょっとかわったのねずみ”、フレデリックの個性を尊重する


みんなと違う感性を持つこと、そして、その個性を尊重すること。

形を持たず、触って確かめることもできない、言葉や光や色にも、それぞれ大切な役割があって、魔法のように不思議な力が宿っていること。


私たちが生きていくうえで、わかってはいるものの、ないがしろにされがちな部分に焦点を当てて、その大切さを丁寧に描いているなと感じました。


サブタイトルにもある通り、この作品の中で、フレデリックは、他の仲間たちとは違った感性を持つ”ちょっとかわったのねずみ”として描かれています。


話のあらすじを読んだとき、『アリとキリギリス』を思い出したのですが、フレデリックは決して怠けている訳ではないし、他ののねずみたちも、自分たちと違うフレデリックを仲間外れにしたり、否定したりはしません


私はその部分に、レオ・レオニ優しさ聡明さを感じました。


自分と違う感性や考えを持っている人を、理解しようと歩み寄ることよりも、否定してしまうことのほうが多い現代において、レオ・レオニが描く優しさが心に沁みます。


人と違うことは悪いことなんかじゃない。
むしろ、とても素敵なことだ。

そんな、メッセージを伝えているように感じました。


これからの未来を生きる子どもたちはもちろん、今の社会で、闘い疲れた大人たちにとっても、温かさと優しさが胸いっぱいに広がるような、そんな作品だと思います。


最後に、フレデリックが語る詩のような長台詞は、私のお気に入りです。


今回、あらすじに、あの台詞をすべて書くか否かとても悩みましたが……あのインパクトを伝えるにはカットなんてできない!ということで、書いちゃいました!


絵本で読むと、あの台詞のわくわく感がもっと伝わると思うので、絵本を手に取って、フレデリックの世界を楽しんでもらえたら嬉しいです。



最後に


今回紹介したフレデリックは、小学校の教科書にも掲載されているので、ご存知の方が多いとは思いますが、改めて作品について考えてみると、とても深いテーマを描いていたんだなと驚かされました。


レオ・レオニの作品では、スイミーを含め、他にもたくさん名作があるので、また、他の作品も読んでみたいと思います!


今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


では、また。